エンタメ 千一夜物語

もの好きビルコンティが大好きな海外ドラマやバレエ、マンガ・アニメとエンタメもろもろ、ゴシップ話も交えて一人語り・・・

ハンニバルの鉄壁デザインから逃れるには... 2.07『焼物』 深読みネタバレ

誘拐され自分で自分を食べるよう強制されたエイブル・ギデオン、誘拐にまつわる殺人で無罪放免となるウィル、生きて見つかったミリアム・ラス、ハンニバルの巨大なデザインの中で、彼らはどうなっていくのか?読んでみました。

ハンニバル2.06 悪の華が開花する残酷なチェスゲーム 『蓋物』深読みネタバレ

満開の桜の花の樹にくくりつけられ、内臓に花々を活けられた男の死体。シリーズ中でも屈指のゴージャスな殺人作品が登場するこのエピソード。この死体の意味を考えつつ、読み込んでみました。

『一度きりの大泉の話』から『小鳥の巣』へー深化する世界観 マンガ深読み

萩尾望都氏のエッセイ『一度きりの大泉の話』が巷で大騒動ぎ!萩尾氏と竹宮惠子氏が共同生活をしていた貸家の"大泉サロン"解体というか、両氏の関係を決裂させた事件が描かれていて、「どっちが悪いの?」犯人捜しみたいなレビューが溢れ返ってますが、アタ…

『アナザーラウンド』マッツが生きる輝きを教えてくれる ネタバレ注

大好きなマッツ・ミケルセン主演の『アナザーラウンド』が9月から日本でも公開!ってウレシイ~~!アカデミー賞国際長編映画賞獲得の前から、各国の映画祭をブッチギッてきた名作。本当にね、苦しいことも辛いこともひっくるめて、人生は素晴らしいって教え…

戦う女の情念がツラすぎるけど色っぽい... テリョーシキナの『愛の伝説』動画付き

バレエというと、淡い乙女の夢とか恋物語、愛する男に裏切られて泣き崩れる女なんていうイメージが定着しちゃってますが、もっと色んなヒロインがいます。 『愛の伝説』のメフメネ=バヌーは、誰の言うことにも耳をかさず、自分で決断して自分を追い込んで、…

ハンニバルは神か悪魔か、救い主なのか?ユダなのか? 2.05『向付』深読みネタバレ

タテに薄切りにされ、アクリル板に入れてアートのように展示された惨殺死体。アタシ的には、TV史上一番ショッキングな死体に吐きそうになった今回のエピソード。こんなことができてしまうハンニバルって、いったい何者っていう見解もさぐりつつ深読みしてみ…

ハンニバル2.04 釣り師の誘惑、狩人の罠。そして死は癒しなのか?『炊き合わせ』深読みネタバレ

あまり明るい話題がないコロナ禍・コロナ不況のこの頃、生きているのが痛い、苦しいと思うこと多々あるのですが、生きている以上はその痛みを逃れることはできません。究極の逃げ道は死ぬことしかないのですが、果たして死は苦しみに対する癒しになるのか? …

ラ・バヤデールが世に解き放たれた瞬間 全幕動画付き コムレワ、テレホワ

バレエ好きの方とおしゃべりすると、『白鳥の湖』とか『くるみ割り人形』とかの話になることが多いですね。チャイコフスキー作曲だし、世界中で上演されてるし...。でも、ロシアバレエ好きからするといろんなバレエ団の垢がつきすぎて、一番好きからは遠くな…

ハンニバル2.03 殺人という貢物、自分を殺すという救済 『八寸』深読みネタバレ

ハンニバルの手で殺人犯に仕立て上げられたウィル・グレアムの裁判が始まる。5件の殺人と山のような証拠品。救いたいハンニバル、ジャック、アラナ。有罪にしたいプラーネル、フレディ、チルトン。彼らはどう証言し、どう行動するのか?そしてウィルは?

ハンニバルという神の眼とそれぞれの駆け引き 2.02『先付』深読みネタバレ

前話の、死体を縫い合わせて瞳のような絵図を創る殺人鬼を巡る捜査の続きとなる本編。モーリス・ベジャールがベートヴェンの交響曲第9番に振り付けた名作上演のドキュメンタリー『ダンシング・ベートーヴェン』冒頭に出てくるカタリ派の教義「世界には善と悪…

ベン・ウィショーが実らぬ恋を語る The Man on the Platform

ときどき、無性にベン・ウィショー作品が見たくなる。何でだろう?心に染み入るような声だから。脆さとか儚さとか、普段の生活の中では抑圧しとくしかない心の揺らぎに、喰い込むような瞬間があるから...。 てなわけで、2017年の英国BBCドラマ『 The Man on …

ハンニバル2.01 抑圧された衝動、記憶、そして思い 『懐石』深読みネタバレ

第1シーズンのテーマは"誘惑”だと、製作者ののブライアン・フラーは言ってます。人生には無償で手に入るものなどないのに、総てをウィルに与えるように見えたハンニバル。誘惑者を信じきって、ハンニバルがチェサピークの切り裂き魔だという事実を無視し続け…

イーラとカーチャの現実...とテリョーシキナ動画付き

ドキュメンタリーというジャンルが、どうもアタシは信用できません。嘘をデッチ挙げているとまでは言いません。でも、選択した事実を集めて作っているのは確かで、マクロに見たリアリティの一部を隠して、視聴者に一定の先入観を植え付けるものではあります…

キリング・ストーキング サンウはウジンを愛していたのか? ネタバレ注

キリング・ストーキングのファンダムを覗くと、シリアルキラーの暴力男オ・サンウの女子ファンが多くて、サンウのファンアートやミームだらけでビックリ~~!確かにイケメンで長身マッチョだけど、「お嬢さん、この男は狂った殺人鬼でっせ。近づいたらあか…

ハンニバルは異形のロマンスなのだ! 第1シーズン深読み

犯罪捜査物ドラマ的にスタートしたTV版『ハンニバル』。ところが、回を追うごとに猟奇殺人のアートっぷりがアップしていき、「こんな犯罪あるわけない!」なシュールで不条理な手口になっていき~~。代わって連続殺人鬼の病理が妙にリアルに描かれ、それが…

TVコンテスト『ボリショイ・バレエ』のマリア・ホーレワとホンモノ 動画付き

○○コンクールとか○○コンテストとか、インチキ臭いと思っているアタシ。昔は、本当に才能ある無名の若者発掘の場だったのかもしれない。でも、今の世の中はすべてビジネスなので、ビジネス上の思惑やら参加団体間の力関係で優勝者が決まることが多く、次席く…

マッツ・ミケルセンは『ファンタスティック・ビースト3』を救えるのか?

物語の核となるゲラート・グリンデルバルド 役のジョニー・デップが"家庭内暴力男"の汚名返上裁判に敗訴してワーナー・ブラザースから切られ、後釜にマッツ・ミケルセンが決まって、「マッツの方が適任」とか「ジョニデに失敬だからボイコットする!」とか、…

キリング・ストーキングは、なんでこんなに痛ましいのか? ネタバレ注

サイコスリラーの傑作とか、不健全すぎる!とか、賛否両論。ストーカーがシリアルキラーに恋したらどうなるのか?って設定もオモロそうだったけれど、BLには興味ないから放っておいたWEBマンガですが、読んだらハマりっきり、読み終わったら収集がつかないほ…

テリョーシキナが凄すぎる!『ラ・バヤデール』リハーサル  動画付き

多くのバレエマニアの方々が、「究極の鑑賞体験!」と絶賛するヴィクトリア・テリョーシキナが主人公のニキヤを演じる『ラ・バヤデール』。今朝youtubeを開いたら、何故かテリョーシキナがニキヤのポーズをキメル画像が目に飛び込み~~~ それも、マリイン…

ハンニバル1.13 断ち切れない絆 深読みネタバレ

『ハンニバル』各シリーズの最終回、やるせない思いに囚われて「どうしていいか分からなくなってしまった」というファンの方が多いです。普通だと、シリーズ最終話ってクリフハンガーに重点が置かれてるので、次のシーズンが待ちきれないって感じるだけなん…

ハンニバル1.12 つながる点と線 ルルヴェ深読みネタバレ

ボルティモアの上流社会の寵児であり、高名な精神科医として活躍するハンニバルが、ある時は犯罪捜査のカギとして、ある時は防衛手段で、点のように散乱させてきた数々のコピーキャット殺人。その点が線でつながれた時、ハンニバルがくだした苦渋の決断とは…

ハンニバル1.11ロティ 乗っ取られる、操作されるアイデンティティ 深読みネタバレ

ハンニバルの差し金で脳炎を患っていることを隠され狂気へと追い立てられているウィル・グレアム。ボルティモア精神障害犯罪者病院長フレデリック・チルトンの心理操作でチェサピークの切り裂き魔だと思わせられ、殺人へと駆り立てられてきたエイブル・ギデ…

ハンニバル1.10 心を病む者たちは闇に抱かれる ビュッフェ・フロワ深読みネタバレ

人里離れ、古びた一軒家に住む少女。街灯のない深い闇の中から家路について、床に入ると寝天井からポタポタと雨漏りが… 何事かと薄暗い屋根裏を覗いて、雪が吹き込む穴をふさいで寝室に戻ると何者かの気配が… そしていきなりベッド下に引き込まれ、血しぶき…

ハンニバル1.09 父という負の遺産 トゥルー・ノルマン深読みネタバレ

さまざまな腐敗状態のいくつものバラバラ死体を組み合わせ、頂点に男の生首を置いたトーテムポール。いつものエレガントな美しさはないけれど、ショッキングなヴィジュアル。祖霊信仰や部族神話にまつわる象徴物の彫刻っていわれているトーテムポールをシリ…

ハンニバル1.08 サイコ野郎どものセレナーデ フロマージュ 深読みネタバレ

喉もとを大きく切開された人体のチェロ、声帯で造られた弦。『ハンニバル』TVシリーズの中でも、最強にグロ美しい死体に入る今回の殺人。だってねえ、これは殺人鬼から殺人鬼へのセレナーデ、ラヴレターなんだから。シーズン1が妖しく官能的に輝く第8話、読…

ハンニバル 孤独な男たちが抱える鈍い痛み 1.07ソルベ 深読みネタバレ

製作者のブライアン・フラーが、撮影開始前は犯罪捜査物的な台本を6話分ほど用意していたけれども、第1話収録後マッツ・ミケルセンとヒュー・ダンシーの芝居に感銘を受けて撮影を2週間中断、2人に合わせて全部書き換えたと言ってました。 ちゅうことは、『ハ…

マッツ・ミケルセンが史上最強のハンニバルになる瞬間 1.06アントレ 深読みネタバレ

話の核が周囲の登場人物の心の機微からハンニバル自身ににシフトして、チェサピークの切り裂き魔の奈落に触れるこのエピソード。マッツ・ミケルセンのファンだから、ドラマを見始めたビルコンティ。ハンニバルが背景になっていたエピソードを耐え忍んでたど…

『海賊』はバレエの冒険ロマコメ アシルムラトワ/ルジマトフ

ジョニー・デップ主演の『パイレーツ・オブ・カリビアン』といえば、いわずとしれたディズニーの看板アクションアドヴェンチャー。シリーズ5作を数え、スピンオフも計画されている大人気作品。 バレエにも大ヒットの『海賊』があるので、その原点となる作品…

ハンニバル1.05コキーユ 死の受容と内なる悪 深読みネタバレ

悪夢と夢遊病、天使に見立てられた死体や透視能力が登場するグロ美しい第5話。犯罪捜査シリーズのふりをして始まり、サイコスリラーに変化し続けた『ハンニバル』シリーズですが、ついに、 サイコホラーに! 幼虫がさなぎになり、孵化するように変化し続ける…

ハンニバル1.04 ウフ 失われた少年たちは家族を取り戻せるのか?ネタバレ深読み

ウィル・グレアムが野良犬を拾い集めるように、孤独な人間は、どんなに否定しても家族を求めている。なぜ彼らは孤独なのか?孤立した人間が無理矢理疑似家族をつくろうとしたら、どんな悲劇が起こるのか?痛みが伝わるエピソードを深読みしてみました。