エンタメ 千一夜物語

もの好きビルコンティが大好きな海外ドラマやバレエ、マンガ・アニメとエンタメもろもろ、ゴシップ話も交えて一人語り・・・

ハンニバル2.08 再生への願い、憎めるという幸運 『酢肴』深読みネタバレ

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ハンニバルとのセラピーを再開したウィル・グレアム。それはハンニバルがチェサピークの切り裂き魔だと証明する囮捜査になるのか?それともウィルの混乱をさらに深めるものになるのか?佳境を迎える第2シーズン後半第8話を、読み込んでみました。

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ハンニバルの鉄壁デザインから逃れるには... 2.07『焼物』 深読みネタバレ

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誘拐され自分で自分を食べるよう強制されたエイブル・ギデオン、誘拐にまつわる殺人で無罪放免となるウィル、生きて見つかったミリアム・ラス、ハンニバルの巨大なデザインの中で、彼らはどうなっていくのか?読んでみました。

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ハンニバル2.06 悪の華が開花する残酷なチェスゲーム 『蓋物』深読みネタバレ

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 満開の桜の花の樹にくくりつけられ、内臓に花々を活けられた男の死体。シリーズ中でも屈指のゴージャスな殺人作品が登場するこのエピソード。この死体の意味を考えつつ、読み込んでみました。

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『アナザーラウンド』マッツが生きる輝きを教えてくれる ネタバレ注

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大好きなマッツ・ミケルセン主演の『アナザーラウンド』が9月から日本でも公開!ってウレシイ~~!アカデミー賞国際長編映画賞獲得の前から、各国の映画祭をブッチギッてきた名作。本当にね、苦しいことも辛いこともひっくるめて、人生は素晴らしいって教えてくれる映画。コロナ騒動で鬱々しがちな今、ジワジワ腹の底から元気にしてくれる作品なんです。

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ハンニバルは神か悪魔か、救い主なのか?ユダなのか? 2.05『向付』深読みネタバレ

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タテに薄切りにされ、アクリル板に入れてアートのように展示された惨殺死体。アタシ的には、TV史上一番ショッキングな死体に吐きそうになった今回のエピソード。こんなことができてしまうハンニバルって、いったい何者っていう見解もさぐりつつ深読みしてみました。

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ハンニバル2.04 釣り師の誘惑、狩人の罠。そして死は癒しなのか?『炊き合わせ』深読みネタバレ

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あまり明るい話題がないコロナ禍・コロナ不況のこの頃、生きているのが痛い、苦しいと思うこと多々あるのですが、生きている以上はその痛みを逃れることはできません。究極の逃げ道は死ぬことしかないのですが、果たして死は苦しみに対する癒しになるのか? 

そんなことを考えさせられたこのエピソード、読みこんでみました。

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ハンニバル2.03 殺人という貢物、自分を殺すという救済 『八寸』深読みネタバレ

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ハンニバルの手で殺人犯に仕立て上げられたウィル・グレアムの裁判が始まる。5件の殺人と山のような証拠品。救いたいハンニバル、ジャック、アラナ。有罪にしたいプラーネル、フレディ、チルトン。彼らはどう証言し、どう行動するのか?そしてウィルは?

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ハンニバルという神の眼とそれぞれの駆け引き 2.02『先付』深読みネタバレ

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前話の、死体を縫い合わせて瞳のような絵図を創る殺人鬼を巡る捜査の続きとなる本編。モーリス・ベジャールがベートヴェンの交響曲第9番に振り付けた名作上演のドキュメンタリー『ダンシング・ベートーヴェン』冒頭に出てくるカタリ派の教義「世界には善と悪 2つの創造主がいる。神と悪魔だ。そして現世は悪に支配された悪魔の王国である」が、不思議と思い起こされる内容でした。

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ベン・ウィショーが実らぬ恋を語る The Man on the Platform

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ときどき、無性にベン・ウィショー作品が見たくなる。何でだろう?心に染み入るような声だから。脆さとか儚さとか、普段の生活の中では抑圧しとくしかない心の揺らぎに、喰い込むような瞬間があるから...。

てなわけで、2017年の英国BBCドラマ『 The Man on the Platform』を見まして~。思わず、涙ぐんでしまいました。

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ハンニバル2.01 抑圧された衝動、記憶、そして思い 『懐石』深読みネタバレ

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第1シーズンのテーマは"誘惑”だと、製作者ののブライアン・フラーは言ってます。人生には無償で手に入るものなどないのに、総てをウィルに与えるように見えたハンニバル。誘惑者を信じきって、ハンニバルがチェサピークの切り裂き魔だという事実を無視し続け、真相に近づきすぎて殺人鬼としてハメられたウィル。2人の捻じれ切った関係はどうなっていくのか?第2シーズンを読み直してみたいかと...

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ハンニバルは異形のロマンスなのだ! 第1シーズン深読み

 

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犯罪捜査物ドラマ的にスタートしたTV版『ハンニバル』。ところが、回を追うごとに猟奇殺人のアートっぷりがアップしていき、「こんな犯罪あるわけない!」なシュールで不条理な手口になっていき~~。代わって連続殺人鬼の病理が妙にリアルに描かれ、それが主人公のFBI特別捜査官ウィル・グレアムの屈折した心理に重なっていくという…とびきりに凝った展開で魅せてくれた第1シーズン、再度読み込んでみますかと…

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ハンニバル1.13 断ち切れない絆 深読みネタバレ

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『ハンニバル』各シリーズの最終回、やるせない思いに囚われて「どうしていいか分からなくなってしまった」というファンの方が多いです。普通だと、シリーズ最終話ってクリフハンガーに重点が置かれてるので、次のシーズンが待ちきれないって感じるだけなんですけど、『ハンニバル』だと、あまりにも昂る情念がミチミチで収集がつかないのですね。何度見直しても、この気持ちは変わらない。なんで?どうして?ってことで、モヤモヤ解消に深読みしてみました。

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ハンニバル1.12 つながる点と線 ルルヴェ深読みネタバレ

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ボルティモアの上流社会の寵児であり、高名な精神科医として活躍するハンニバルが、ある時は犯罪捜査のカギとして、ある時は防衛手段で、点のように散乱させてきた数々のコピーキャット殺人。その点が線でつながれた時、ハンニバルがくだした苦渋の決断とは?裏切りと情念に満ちた第11話、読んでみました。

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ハンニバル1.11ロティ 乗っ取られる、操作されるアイデンティティ 深読みネタバレ

 

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ハンニバルの差し金で脳炎を患っていることを隠され狂気へと追い立てられているウィル・グレアム。ボルティモア精神障害犯罪者病院長フレデリック・チルトンの心理操作でチェサピークの切り裂き魔だと思わせられ、殺人へと駆り立てられてきたエイブル・ギデオン。2つの病んだ心の自分探しは思わぬ方向へ~~~

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ハンニバル1.10 心を病む者たちは闇に抱かれる ビュッフェ・フロワ深読みネタバレ

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人里離れ、古びた一軒家に住む少女。街灯のない深い闇の中から家路について、床に入ると寝天井からポタポタと雨漏りが… 何事かと薄暗い屋根裏を覗いて、雪が吹き込む穴をふさいで寝室に戻ると何者かの気配が… そしていきなりベッド下に引き込まれ、血しぶきが~~ と、ホラー映画みたいな不気味なショッカーから始まるエピソード、読んでみました。

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