エンタメ 千一夜物語

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マリインスキー・バレエ セリーナ先生の朝のクラス 動画付きテリョーシキナ他参加

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動画にケチ臭いマリインスキーが、ワールド・バレエ・デーに本格参加!ってことで、珍しく動画が大盤振る舞いだった今年。それも、大好きな第2ソリストのヤナ・セリーナさんが指導する、テリョーシキナ姉さんがそれを受けてるクラスの動画などあり、夢中になって見続けてます。練習風景なのに美しすぎ!素晴らしすぎて、涙チョギレま~~す。なんで、ひとり語り。

 

 

ヤナ・セリーナさんのこと

教える先生は1997年ワガノワ卒業で長年第2ソリストを務めるヤナ・セリーナさん。ボリショイのプリンシパル、ミハイル・ロブーヒンの奥さまでもありますが、アタシたちマリインスキーファンはヴァリエーションの女王と讃えています。

というのは、数あるグランドバレエ演目のそれぞれに、絶対セリーナで見たいっていうヴァリエーションが必ずというほどあるからです。

マリインスキーのプロフィールページにいくと、『スコッチ・シンフォニー』が絶賛されてます。この演目の中でも最難関、飛び技・足技連続の少年役をサラッとお茶目に踊っちゃうとこなんて、シビレるんですね。『眠れる森の美女』の勇気の精なんて、アタシには歴史的に最強。猛スピードでこなす『海賊』のオダリスクの2番目とか、裏テンポに独特な情緒漂う『ラ・バヤデール』の2番目の影のソリストとか。最近では、『パキータ』全幕版グランパの第4ヴァリエーション。今までバタバタして意味不明って思ってた振り付けをセリーナが踊ったら、子守歌のようにやさしく温かい振りだったって分かって、泣きそうになったりもいたしました。

お芝居もサイコー。『眠れる森の美女』の白猫のセクシーなちゃきちゃき感。『ドン・キホーテ』の花売り娘役のセリーナとテリョーシキナ姉さんのキトリが並んで忙しく扇を使ってるとこなんて、超イキな町娘感覚で味があります。

主演は少ないんですけど、『ラ・シルフィード』のシルフ役なんて、最初はチョイ悪で誘惑的な小悪魔なんだけど、真の愛に目覚めて生きてけなくなる。見えない眼で恋人を探しながら亡くなるまでのキャラの成長が感動『バフチサライの泉』のマリアは、征服者のカーンに一族を皆殺しにされ、ハーレムに攫われてきたクリミア貴族の娘。昔の幸福を偲んで踊るとこなんて、目の光だけで思い出の中に迷い込んじゃったのが分かるんです。

凄いソウルフルな踊り手なんですよ。

 

ヴァリエーションてだいたいアダージョのパートに明解にコントラストするものだから、アレグロ(速い動き)が多くなります。ヴァリエーションの女王になれるっていうのは、やっぱり、飛び技とか足技とか、アレグロに秀でているってことなんですね。

 

でも、セリーナはワガノワの教員コースのディプロマもないし、コーチ陣にリストアップされてるわけでもない。

そんな彼女が教えるってとこに、重要なポイントがあるわけです。

 

特別編成の特別クラスなのよ

大きなリハーサル室がいくつも用意されているマリインスキー劇場なのに、舞台の上でクラスやってるって異例です。こういうことって、リハーサル室が足りない旅公演で起こることです。

だいたい、マリインスキー劇場が朝8時から始める通常クラスって、基本的に疲労や怪我を抱えた大人のウォームアップのためにあるので、単純なタンデュとかを延々と繰り返してることが多いです。で、各演目の個人でのコーチングスケジュールがビッシリ詰まってる主演級スターさんたちは、クラスの途中でドンドン抜けてきます。

テリョーシキナ姉さんが最後までクラス受けてるなんて、ごく最近撮影され始めた、見せるためのクラスでしかあり得ないことです。

 

そうです。これは配信プログラムで見せるために撮影された、特殊なクラスなんですね。若い子たちなどは、このクラスのためのリハとかやってるかもしれません。
だって、コンビネーション(技の組み合わせ)に質問してるのテリョーシキナ姉さんだけですから。

 

男女の練習プログラムも基本的に異なりますから、普通は男女別に分かれてることが多いです。凄く人気あるコーチやベテランダンサーのワークショップとかだと、男女問わず参加したりするんですが、セリーナは人気の教え手なんでしょうか?
確かに、セリーナの練習メニューは複雑なコンビネーションがバシバシ入ってて、ウォームアップのためっていうより、アレグロが上手になるためのクラスって感じです。 

 

だから、ベテランのスターバレリーナで参加してるのは、バレエ団を代表するプリンシパルで付き合いが良いテリョーシキナ姉さんだけ。朝っぱらからこんなクラスをやってたら負担かかりますから。

一世代前の大スター、ウリヤーナ・ロパートキナなんて集団でやる朝のクラスに参加する姿を見たこともありませんでした。ってくらい。

 

じゃあ、なんでこんなクラスをやってるのか?
まるっきりの想像ですが、今までマリンイスキーが放映してきたクラス映像って地味で面白くない。「こんな簡単なコンビネーションならうちとこでもこなせる!」みたいに不埒な感想を言うカンパニーとかも出てきて、汚名挽回に思いっきり小難しいコンビネーションを指導できるセリーナさまに登場願ったってことじゃないかと…。

勘ぐる一ファンです。

 

指導者としてのセリーナさん

アタシは運が良いのか記憶力が良いのか、キャリアの節目、節目でセリーナさんを見てきました。
ワガノワバレエ学校の第2学年(記憶が正しければ)の『パキータ』の子供たちのポロネーズとマズルカ、『くるみ割り人形』の「葦笛の踊り」に始まって、コリフェに上がる時の『ラ・バヤデール』の影の行進の先頭や、『薔薇の精』『ペトルーシュカ』などの主演、『バフチサライの泉』のマリアデビューなども拝見しました。

 

クラスを受ける姿なども見ています。セリーナはあまり無理をしない人。というか、練習に目くじらをたてて取り組む出世主義者というより、リラックスして笑顔を絶やさないムードメーカーに見えました。

 

教える側に回ると、それが全然違ってくる。セリーナらしい冗談を言って談笑するところも出てきますが、基本的に眼光が鋭いです!後輩を育てる責任、その重みが伝わってきます。
バーでの説明は若い女子が集まってる下手のところにいる。若い先生はいいですねえ。実際の動きを見せてくれながら説明する。早くて正確なバットゥリーが得意な現役の彼女ですから、見ているだけでも勉強になります。
で、心もとない動きをする若手がいると、名前を呼んだり、移動していって細かく指導してますね。精力的ですねえ。

センターの説明なんて、声出しながらシャンジュマンやブリゼ、カブリオールやアントルシスとかガンガンしてるし!やっぱり、セリーナにとって飛ぶことは息をするのと同じくらい自然なことなんですね。凄い!

 

以前、埋もれた天才と名高かったアンドレイ・バターロフがクラスの指導をしてる時期があって、こんなに動ける名人に習えられるなんてメチャウレシイだろうなと思いましたが、セリーナも同じ。

とかく軽視されがちなアレグロの技を、ヴァリエーションの女王が次代に引き継いでいくって、マリインスキーならでは。伝統を守る老舗の人材力をヒシヒシ感じます。

 

 

バーからして、芸術品のような美しさ

もう、マリンイスキーの皆さま、特にバレリーナの皆さまって立ってるだけで麗しい!

ワガノワバレエ学校の生え抜きって、10歳の時に骨格と身体性の両方が適合する人が選別されてるわけだから、踊り手となるための容姿の持ち主なわけです。

女性は特にスレンダー。頭が小さく首や手脚が長くて、ウェストが引き締まって上半身がクゥっと引き上がり、膝裏が伸びて足の甲が高く屈曲している。なんか植物が空に向かって成長していくよう。体幹に集められたパワーが引き延ばされた上体や指先から放出されていくような、しなやかな、しなやかな美しさに満ちているのです。

西洋のバレエ団だと、ガッチリして郵便ポストみたいなボディの方々がドッシリとバーの前に並んでいることが多いでしょう。どのバレエ団の皆さまも、我々一般人と比較すると超スリムです。ただ、生まれつきラインが短かったり、引き上げが十分でなかったりすると、舞台の上でズングリして見える。所作が重苦しく見えてしまうのですね。

 

マリンイスキーの皆さまは所作も美しい。骨盤からしっかりと脚が外転して、その外転が足首では後ろ方向のL字型になって足の指先まで淀みなく展開していくので、身体全体が描くラインには放物線を描くような美しさがあります。タンデュとかで動いてもその外転ラインが壊れない。プティバトマンなんかも、軸足の足首で動作するもう一方の足がしっかり外転して、軸足を包むようにL字型のラインを描いてます。だから、アディテュードからアロンジェ(脚を曲げた状態から引き延ばす)に至る軌跡なんかも、気が抜けたところで内転して崩れたりしない。アカデミックな美しさを保ち続けるのですね。

 

ポールドブラ(腕の動き)も綺麗。二の腕から肘までがグーッと引き延ばされて、動く起点が肘なんですよね。人間てだいたい手首を起点にして動くでしょう。そうすると、手の平ばかりがヒラヒラして品がない。

踊りとは何かというと「身体の中心で起きた動きが末端へと拡大しながら伝わっていくこと」と、バランシンスタイルで学んだ師匠がかつて言われておりました。すごく納得する説明です。私も長年これを信じております。

で、この理論で考えると、腕が手首から動いたらイカンわけです。肘から動いて、それが手首に伝わり、手のひらは遅れ気味に残照のような軌跡を描き、身体の中心の動きに呼応する。が、正解なわけです。

これがしっかり守られているので、腕の動きが無駄のない滑らかなものになります。上体を横に倒す時も(7:47あたり)、倒す側の腕が頭との関係ではアンオーポジションを保持している。基本が細部まで守られているのですね。

 

プリエなんかも身体が下に沈むというよりは、両膝が外側に引っ張られることで身体空間がさらに横に広がる感じが強調される感じ。圧倒的な上体の引き上げの賜物ですが、これがあるから無限に成長し続ける植物のイメージが可能になりますかと。

 

これに、上体全体を使って緩やかに動くエポールマン(肩に伴う頭の動き)が加わります。このために上体の動き自体が滑らかになるので、一つ一つのポーズが、絵画的、彫刻的な美しさをみせる。上体は自由に動いているのに、決して丹田の軸は譲ってないから、全体の動きがブレないのですね。

 

だから、バーを見ていても芸術品のように美しく、見ごたえがあります。
もちろん、自分も参考になんて死んでも思いませんです。ポールドブラの約束事を守って立つだけで、死んじゃいそうになってしまいますから。

だから、あくまでも観客としてクラスも拝見するしかないのです。トホ 

 

バー:それぞれの個性

バーの段階でことのほか美しいのは、下手のバーの先頭で説明するセリーナ先生の右手にいる第2ソリストのマリア・イリューシキナ(2016年ワガノワ卒業)ですかと。
背が高いのでラインが長く、動きがとてもしなやか。ワガノワらしいエポールマンがとても優雅です。すごくマリインスキー好みな踊り手。ということで、『白鳥の湖』や『ラ・バヤデール』の主役に早々抜擢されてましたが、このタイプの人は強靭な体幹と技術力を持つのが難しく、いつ見ても何か頼りない感じ。ロパートキナのように技術は最高でじゃないけれども、内側から溢れる抒情性で圧倒できるみたいなタイプでもないし、どんな演技者になるのかまだ見えません。

 

イリューシキナと同じバーの反対側にいる、やはり第2ソリストのエカテリーナ・チェビキナ。動きがゴツゴツして不器用な感じに見えます。彼女はいろんなコンクールに入賞した技術力を買われて、ウクライナから第1ソリスト枠でスカウトされ『白鳥の湖』『海賊』『ラ・バヤデール』という主要演目の主役を演じていましたが、どんなステップにも対応できるけど、動けるというだけで緩急や情緒表現などが何もなく、今では敵役中心の第2ソリストに落ち着いてます。

永久メイさんはイリューシキナの隣、下手側にいますが、指導を聞いてる顔は良く見えるんですが、動いてる姿がよく見えないですね。

 

一つ一つのポジションにすら情念がこもっているマリインスキースタイル。やはり、外様にはキビシイ世界です。

 

真ん中のバーの一番後ろ上手側にいるのは、日本でも放映されたドキュメンタリー『バレエの王子になる!〜“世界最高峰”ロシア・バレエ学校の青春〜』で脚光を浴びたミハエル・バルキジャ(2019年卒業)。ワガノワのツィスカリーゼ校長から「10年に一人の逸材」なんて言われていた中途からの留学生。アメリカで育った子だから、基本がまるで違います。

足がグアシっと地面を包み込むような安定感がないので5番の引き締めが緩いですね。肩が上がりやすいし、上体に安定感がない。だから、大きく動くと外転のラインが崩れる。フォンデュの軸足と動作する足の動きもシンクロしなかったりするし...。ってことで、まだまだコールド。
バルキジャの列は男子ばかり、それも前側からプリンシパルのアンドレイ・エルマコフ、第2ソリストでコンテンポラリーキングなワシリー・トカチェンコ、第1ソリストで一番アカデミックと言われるフィリップ・スチョーピン、最近コリフェになったローマン・マリシェフとワガノワらしさ溢れるメンツなので、この画面でもキビシイ。この動きだとケガもしやすいだろうし、難儀なこっちゃ。

 

バーを挟んでバルキジャの隣(下手側)にいる2mくらいあるノッポは、最近コリフェになったVSEVOLOD MAYEVSKY(正しい読み方がわからない。2017年キエフの学校卒業)。キエフもロシア同様ワガノワメソッドが基本だから、細かなニュアンスが要求される女子と違って、男子はマリインスキーに適合する人が結構いますね。不出来なことは多々あれどバルキジャと比較するとドッシリした存在感あり。てえことで、高身長なパートナー男子が好まれるマリインスキーでは、『火の鳥』のイワンとか『海賊』のコンラッドとか、プリンシパル級のお役もらってますね。セリーナも熱心に指導してます。

外様プリンシパルのティムール・アスケロフ、ザンダー・パリッシュ、役者枠のローマン・ベリャコフとかは目立たない位置に置いてるのも、配慮なんでしょうね。いつもバーでは調子悪そうなエルマコフはテリョーシキナ姉さんの隣で憂鬱そう。お察しします。

 

テリョーシキナ姉さんのこと

イリューシキナとは対極の方法論で動きつつ、魅力的なのがテリョーシキナ姉さん
地元クラスノヤルスクのバレエ学校で頭角を現して何度もワガノワバレエ学校から誘われたけれども、家を離れる勇気がなくて決心がつかなかった。ので最終3学年のみワガノワで学んだという人。
基本の基本を学ぶ時期にワガノワバレエ学校にいたわけではない。だから、ワガノワらしい曲線的なエポールマン美とかはないのです。若いころから、バーではそっけない感じですごく目立つ人ではありませんでした。

でも、ポジションや動きがとても正確。音取りもクリーンです。

ラインに関していうと、姉さんは猿手と言っていいくらい肘の関節が柔らかく、これに伴って肩関節も柔らかい。なので、空気の上に浮いているようなポールドブラが可能ですし、一番アラベスクをした時に上げた脚の側の腕と脚が正確な平行線を描くのですね(39:09辺り)。この柔らかで人間離れした軌跡を描く腕周りの関節があってこそ、『白鳥の湖』のオデット、つまり羽ばたこうとする白鳥になり切れるのだと確信してるアタシです。

 

さらに骨盤と脚関節の関係も、アラセゴンド(横)に対しては硬めですが、デリエール(後ろに動かすこと)に関しては抜群の可動性が若い頃はありました。体幹も強いので、俯せから上体だけを直角の位置まで上げてバランスしてるなんて姿も見かけました。だから、アラベスクやアティテュードのバランスが鉄壁なのですね。バーでのこれらバランス(21:17、24:32辺り)でも、上体に微塵の歪みもない。なので、ロマンティックバレエが必要とする脆さや叙情性を表現するには向いていない。でも、『眠れる森の美女』第2幕のパダクションとか、『ラ・バヤデール』第3幕「影の王国」のエントランスとか、パートナーが手を放した、ポワントでのアラベスクバランスが完璧に静止する、アカデミズムの極致ともいうべき至芸が披露できるのですね。

※アティテュードバランスのところとか、ちょっと軸足がヘコヘコしてます。テリョーシキナ姉さんの足自体はあまり強くないようで、この傾向は学校の頃からあり、29代後半には克服してましたが、最近はまた弱り始めてます。調子が良い時でもゲイナーのトゥシューズと甲のサポーターが必要だったことも記憶に残っています。

エポールマンに関しても、曲線的なワガノワスタイルではないけれど、テリョーシキナならではの躍動と情感に溢れた独自のスタイルを確立しているところが素晴らしいなと思います(フォンデュやアダージョでセリーナの動きと比較していただくとがわかりやすかと)。

 

でも、テリョーシキナ姉さんの強みと言ったら、やはりセンターのコンビネーションからですね。昔からバーでは隅の方にいたのに、センターになると第1組のど真ん中に出てきてました。
正確な音楽性とポジション、ステップ。切れ味のある動き。足が弱くなったとはいえ、回転のコンネーションは圧巻.シャンジュマンやアントルシャみたいな小さなジャンプで脚を交錯させるステップなど、空中で5番をしっかり通るとこなんてまさにお手本。アントルシャシスからカブリオーレのコンビネーションで打ち上げた方の脚のラインの見事さ(1:08:22辺り)。最後のレベラシオンの浮遊感あるポールドブラ、鉄壁のアラベスクバランス。もう格違い!周囲の追随を許しません。

 

その他、目だった皆さん

第1グループでテリョーシキナ姉さんのを囲むのは、それなりのメンツ。下手から、ブルーのレオタードを着た第2ソリストのアナスタシア・ニュイキナ、グレーの稽古着は話題の群舞アナスタシア・スミルノワ、カーデガンをはおってるのは第2ソリストのアナスタシア・ルキナ
2018年入団のニュイキナは『ドンキ・ホーテ』の森の女王や『ラ・バヤデール』のガムザッティなど、大きなお役をそつなくこなす踊り手。2000年卒業のスミルノワはミハイロフスキー劇場で主演級の役どころにいきなり入りましたが、何故か戻ってきた人。2人とも、無難な感じですね。
目を引くのは2015年卒業のルキナ。入団してすぐ『眠れる森の美女』のオーロラという大役を貰ってましたが、回転力が今一で全体に安定性が欠けてて、小さな作品の主役やヴァリエーションに留まってます。でも、プロ生活6年目ともなるとラインが洗練されて風格のようなものが出てくる。頼れるベテランになってくれることを期待します。

 

第2グループで目立ってるのは、ジッパー付きハイネックを着た群舞のアレクサンドラ・ヒテーエワ。真ん前の真ん中にいます。技術も安定して、セリーナ先生の指示にある細かいニュアンスとかも出してます。魅力的ですねえ。マリインスキーでは駆け出し扱いですが、今や大スターのキム・キミンが外部出演で『ドン・キホーテ』全幕を踊った時、相手役に選んだのがヒテーエワだったんですね。これからが楽しみな人。

ヒテーエワの後ろの半袖Tシャツ姿は2018年入団の第2ソリスト、マリア・ブラノワ。『海賊』のメドーラに抜擢されて、全部ダブルピルエットでグランフェッテをこなした逸材。なんですが、腕が今一なのでバーとかアダージョだと目立たない。ステップが大きくなるに従って華やかさが出てくるタイプと見ました。

上手奥ブルーグレイのフレンチスリーブの第1ソリスト、アナスタシア・バトエワ回転に秀でた実力者なのに、なんで後ろにいるのと思ったら、リハのために早退組ですね。この人は、もっと見たいなあ...。

そういえば、男子のスター連中も最後まではいませんね。せめて、完璧君のスチョーピンは最後まで観たかった...

 

まとめ

と、最初から最後まで圧巻っぱなしで完走してくれたのは、バレエ団を背負うテリョーシキナ姉さんだけ。

って、10年前と何も変わってないじゃないですか!極めつけの巨星なのはわかりますけど、姉さんだって年を取ってフィジカルが落ちてきてます。連日グランドバレエをこなすなんて、もう無理なんです。

でも、この連中だとバトエワ以外は、まだまだ勉強中。今シーズンは『ファラオの娘』も復活上演するみたいですが、やっぱりテリョーシキナ姉さん世代のベテランの皆さまに頼っていくのか?そうなるんでしょうね。
セリーナがヴァリエーションを踊らない舞台なんて、今でもがっかりだし...。

消されてる『ガラ』の動画もつまらなかった。ノヴィコワのガムザッティは、もうイタリアンフェッテからダブルピルエット入りのグランフェッテはできなくなってるし、テリョーシキナの『シェヘラザード』は、昔みたいに舞台上のフィギュアスケーターみたいな感触がなくなってるし、少女には見えないコンダウーロワ主演の『ロミオとジュリエット』まで来たところで、つまらな過ぎて見るの止めちゃいました。

ガンガン飛ばしてくる若い子が出る活きのいいガラが見たいよ!でも、話題のマリア・ホーレワもこれぞっていう主演演目がまだないし~~。

いつも最後はボヤキになる今日この頃、悩ましいマリインスキー劇場の世代交代機能不全です(泣)。

皆さま、頑張ってくださりませ~~。だって、チケット高いんだからスカは嫌なのよ。

 

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