皆が愛する主人公ジョン・スノウを継子イジメしていたので、ゲームオブスローンズのファンコミュではえらく不人気なキャトリン。
ティーザー予告でも「我が家にこんな恐ろしい不幸が降りかかったのは、すべて私が母なし児を愛せなかったから」と自分を責めていますが、これって、「私のカルマをセプトの神々が罰しているのよ」みたいな、傲慢かました言葉とも取れ・・・
本当に只者じゃないキャトリン。その功罪はいかがなもんか?掘ってみます。
- ジョン“イジメ”が一家没落の原因?
- ティリオン・ラニスターを捕えたこと!
- 王弟レンリーとタイレル家を侮ったこと!
- グレイジョイを疑ったこと!上げ~~
- ジェイミー・ラニスターを解放してしまったこと!
- 大蔵大臣リトルフィンガーを信じたこと!
ジョン“イジメ”が一家没落の原因?
落し子(私生児)を憎むのがウェスタロス最大の罪かというと、そうでもないのね。
北ではスノウ、王都ではウォーターズ、ハイガーデンではフラワーズと、家名の代わりに地域特有の苗字を与えられ、正嫡の権利を与えられない落し子達は、お家騒動の種でもあります。ボルトン家では、長男ドメリクが謎の死を遂げたために、その殺害を疑われる落し子ラムジー・スノウが家を継ぐことになりました。サーセイはそれを恐れて、王都の落し子を皆殺しにする。キャトリンの反応は生ぬるいとも言えましょう。
でも、誰よりもネッドに似ていると言われるジョンがロブを裏切るとも思えない。彼を正式な次男としておけば、
・父の仇討と妹サンサ・アリア救出のために挙兵したロブに代わって、ジョンがウィンターフェル城を守ったかもしれない。
もしくは、
・シオン・グレイジョイからウィンターフェルを奪還する指揮をとったのは、最凶ラムジー・スノウではなく、最強ジョン・スノウだったかもしれない。
疑い深いジョンが眼を光らせていれば、ウィンターフェルを奪われて“城なき王”となり、弟のブラン・リコン殺害という大打撃をロブは避けることができたのでは・・・
とはいえ、これは可能性の問題なので、ジョンイジメが悲劇の原因とは言えないかと。
てか、もっと明白な間違いを犯してますよ。キャトリンて人は!
ティリオン・ラニスターを捕えたこと!
前"王の手"ジョン・アリン殺害を夫ネッドに知らせようと、子供たちを残して王都に向かったキャトリン。帰宅する旅路の旅籠でティリオン・ラニスターに遭遇。息子ブラン殺害未遂の凶器がティリオンのものだっていう大蔵大臣ベイリッシュの言葉を鵜呑みにして、ティリオンを殺害未遂の黒幕として誘拐・捕虜にしてしまいましたね。
なんで人の言質の裏をとらないのか?ティリオンがどういう人間性なのか、彼に動機はあるのか、探らないでいきなり行動するパターンに呆れましたね。
本を読んでると、タイウィン・ラニスター(ティリオンの父ちゃん)が北に向かって進軍したのも、ジェイミー・ラニスターがネッドを王都で襲って家来皆殺しにしたのも、ティリオン捕縛が原因なのね。だから、キャトリンが戦争のキッカケを作ったことになります。
とはいえ、ティリオンを捕虜にしなかったら、王都に来た理由を詮索されて、反逆罪にもなりかねない。自分が動くんじゃなくて、もっと目立たない情報伝達手段を考えるべきだったのね。
王弟レンリーとタイレル家を侮ったこと!
ロブのみならず、この戦争がウェスタロス中を揺るがす「五王の戦争」となり、"北の王"ロブから王弟として挙兵したレンリーに対する友好のメッセージを伝えに野営地を訪れたキャトリン。戦時というのに騎士達のトーナメントなど催して楽しんでいるレンリーに呆れ、侮蔑を隠しませんでしたねえ。
スターク家ならではの高慢と言えましょうか?
それよりも、何でレンリー軍が「勝ったも同然」な余裕を見せているのか考えたほうがいんでないの?と、思ったビルコンティ。
だってねえ、この状況だと人・物・金の総てが豊富なタイレル家を後ろ盾にしたものが断然有利なのよ。"花の騎士"ロラス・タイレルが恋人で妹のマージョリーが妻のレンリーは断然有利でしょう。
タイレル勢力が強大だから、智将タイウイン・ラニスターはレンリー亡き後タイレル家の抱き込みを図ったわけで、王都を襲ったスタニス・バラシオン軍を撃退できたのもタイレル家あればこそ!
キャトリンやロブもタイレル家を味方につける算段を、早くにする必要があったかと・・・
本当に情弱なスターク一家なのよね!
※"北の王”と同盟を結んだウォルダー・フレイの娘と弟エドミュアの婚礼の席で、息子ロブと妊娠している嫁を目の前で惨殺され、自分も喉をかき切られられるというギリシア悲劇も真っ青な最後にたどり着くキャトリン。
グレイジョイを疑ったこと!上げ~~
判断間違いの多いキャトリンではありますが、ロブの戦時参謀として一つだけ素晴らしい進言をしています。
スターク家の里子(本当は捕虜ですね)として育ち、挙兵したロブの側近として動いてきたシオン・グレイジョイが、連戦連勝で"若き狼"と呼ばれるようになったロブに「故郷のパイクに戻って父ベイロンから艦隊をだしてもらい、王都を一挙に攻めよう」と提案、ロブも賛成した時、「グレイジョイを信じてはいけない」と言いいきりましたね。
そもそもベイロンがロバート王に反旗を翻し挙兵、上の息子二人を失くして敗戦を喫したとき、ベイロンの謀反心を抑えるためネッドが人質として確保したのが末の息子シオン。なにかあれば、こいつを殺すぞというわけですね。
いくら兄弟同様に育ったからといって、戦時捕虜を故郷に戻したら脅しが効かなくなるでしょう。捕虜は捕虜だから意味があるのです。
でも、母親のいうことを聞かなくなっていたロブ。キャトリンのたった一つの功績を無駄にして、シオンに故郷に戻し、ウィンターフェルを簒奪されてしまいました。
ジェイミー・ラニスターを解放してしまったこと!
王都の守人にして、先王アエリス・ターガリエン殺しで悪名高い騎士。王妃サーセイの双子の弟であり、不貞の相手、ロバート王の子供たちの真の父親ジェイミー・ラニスター。サーセイとの密会を目撃したスターク家の次男ブランを塔から突き落として一生歩けない怪我を負わせた悪党として登場したジェイミーを捕虜にした常勝王のロブ。
ジェイミーは、ラニスター軍に対しての大変有利な交渉材料であり、この捕虜さえいれば、"城なき王"でも勝目はあったのです。
城に残してきたブランとリコンの息子二人をシオンに殺されたという報が入って乱心したキャトリン、王都で人質になっている娘達を返してもらう約束をジェイミー本人にとりつけて、王であるロブを無視して自分の一存で逃してしまいましたねえ。
捕虜の返還交渉は、敵軍の長と行って初めて意味が出てくる。捕虜は交換時まで手元に置いておくのが普通の順番ですが、半狂乱の母は全て無視!
こんなことではラニスターとの交渉材料がなくなって、参加の将軍たちもしめしがつかなくなる!
この時、ロブは戦いは終わったと確信したビルコンティでした。
こうなったら、臣下に裏切られて「血みどろの婚礼」真っしぐらです~~
大蔵大臣リトルフィンガーを信じたこと!
キャトリンが犯した一番の間違いは、やはり、これかと。
娘時代のキャトリンに思いを寄せて、当時の彼女の許婚ブランドン・スタークに決闘を挑んで半殺しの目にあったリトルフィンガーことピーター・ベイリッシュ。単身王都に駆けつけたキャトリンに救いの手を差し伸べた幼馴染を信じたい気持ちは分かるのね。愛した女はキャトリンだけと言い張る男に、気持ちは緩むでしょう。
でも、キャトリンは決闘の後ず~~~っとリトルフィンガーに会っていないのです。10年以上の年月を経れば人は変わりますよ。大蔵大臣なのに娼館を経営している男の言い草なんて信じるに価しないでしょう。おまけに、妙に事情通なのも変だし・・・
こんな奴を頼るよう夫に伝えるなんて、大間違い。愚直なネッドが王座争奪戦のプレイヤーには向かないと判断したら、さっさと彼を裏切ってラニスター家に売ってしまう。さらに、第7シーズンまで見ると、ブランの殺害未遂やティリオンを犯人に仕立てあげたことなど、全部黒幕はこの男なのですね~~~。
さらにさらに不幸の種をどんどん仕掛けるリトルフィンガーと家族を接触させたことがスターク家の不運の元なのですよ。結局。
夫と子供たちを守りたい一心で、狂乱しているとしか思えないキャトリンの行動の数々。スターク家の悲劇のエンジンとしか思えません。
とはいえ、キャトリンの狂乱の悪あがきがなければゲーム・オブ・スローンズは、薄っぺらでつまらない冒険ファンタジーに終わってたと思います。
そして狂気の母を鬼気迫る演技で魅せ切った女優さんのミシェル・フェアリーが素晴らしい!パイロットでは「高慢と偏見」のジェニファー・イーリーが起用されていたのですが、それをあえてフェアリーに変更した。物柔らかなイーリーでは、この迫力は出なかった!
キャスティングの見事さに脱帽です!!!